シリーズ2
ハンガリー原産の中型の牧羊犬。特徴は縄状にタテ撚りになったドレッドヘアだ。子犬のときにウェーブ状かカール状だった毛は、おとなになるにつれだんだん撚り紐のようなドレッドヘアとなる。とかしたり、反対に手入れせずに単に毛玉の塊のようにもつれている被毛は牧羊犬やショーの世界ではNG。縄状の毛は完璧な耐水性を持ち、それがプーリーの仕事に必要だったからだろう。ただし、そのドレッドヘアを日本の家庭犬として維持するのはいささか大変。ホコリやニオイを吸い取った体毛と暮らすことになるからだ。地元の牧羊農家では3年ほどかかって縄状になったプーリーの毛を、羊の毛刈りのついでに一気に散髪することもある。
プーリーの体高は約40cm。体重はオスが13〜15㎏、メスが10〜13㎏。粗い上毛と細い下毛のダブルコートで毛量があるため、一見すると中型〜大型犬のように大きく見えるが、毛がなかったら体重的にはコーギー程度の小型〜中型犬である。
ちなみにハンガリーには、同じくドレッドヘアの牧羊犬のコモンドールがいるが、こちらは超大型犬サイズ。体高70cm、体重50〜60㎏ほどもあり、グレート・ピレニーズくらい大きい。そして防衛本能が強く、かなり断固で、かなり激しく手強い。一般家庭にはとうてい難しい。
けれどもプーリーは、毛のタイプや仕事内容からしてコモンドールの親戚筋であるとは予想できるが、性質としてはもっと家庭的。家族との触れあいを求め、学習能力も高い。ただし番犬としての能力は高いので、吠え声が問題となる心配があるため集合住宅での飼育は要検討。
プーリーのアレン(6歳、オス、17kg)。プーリーの中では大きい方だ。
人間のひとり息子さんが高校生になり、子育てがひと段落したのを機に犬を飼おうと思い、たまたま出会ったのがプーリーだったという飼い主夫妻。「いま思えば、だめな飼い主なんです」と謙遜するが、しっかりトレーナーに習って定期的にトレーニングも行っている成果もあるのか、アレンは本来のプーリーの性格よりもマイルドで、他人にもフレンドリーな素敵な家庭犬として育っている。
3歳前に両眼が白内障になり、手術をし、さらにその後右眼は緑内障になり、右の視力はほとんどないというが、飼い主さんたちの温かな愛情に包まれて、そんなハンディを全然感じない普通の生活をアレンは送っている。
あれ、意外と大型犬!? でかくないですか、中型犬と聞いていたのに。
あ、でも触ってみると、毛がふわふわで、中の体は小さい。胴回りのサイズはコーギーくらいですね。足が長い分だけ(笑)、コーギーよりちょっと大きいんだな。
RG : 飼い主さん(パパ)とトータルコーディネイトされているというか、おしゃれですね。可愛い犬もいいけど、自分が連れている姿を想像するとね。でもかっこよすぎてもいけない、僕に似合わないと困る(笑)。プーリーは、カッコイイとカワイイの中間くらいで、ちょうどいいな。デニムに合う感じ。
プーリーには白もいるんですよ(編註;ブラック、ブラックに錆色やグレーの毛がわずかに入っている色、ブラックマスクのフォーン、パールホワイトの毛色あり)。でも男が飼うときって、色が大事ですよね。"犬を自分のかっこつけの道具にしちゃいけない、(そんな風に考えるのは)なんて自分は下品なんだろう"って思いますが(笑)、でもやっぱり自分に合う犬はいいですよね。
RG : わかります、わかります。プーリーと暮らしたら、僕はプーリーにライフスタイルを合わせたくなります。僕が犬に合わせてデニム着て散歩したい。カール状の毛だけど、プードル系の柔らかい毛とは違いますね。
見た目はこんもりしてますが、毛をおさえるとかなりスリム!
うちは毎日ブラシとスリッカーでとかしているので、正式な毛じゃないんです。プーリーを飼っている人から見れば「コートをほどくなんて」と言われますが……。でも日本は湿度が高いでしょう、ニオイがあるし、梅雨明けなどはとくに皮膚炎になりやすいので、うちは(ドレッドをキープせずに)とかしています。
シャンプーは2ヶ月に1度くらい。すごく時間がかかるのでプロにお願いしています。うちは安いところに頼んでいるけど、8000〜1万円くらい。普通はもっと高いと思います。カットは自分でやることが多いです。目のまわり、お尻まわり、足まわりですね。本当は目が隠れるように毛で覆われているのが正しいプーリーなんですが、目の病気をしているので、うちは目が見えるようにカットしています。
毎日のブラシの手入れは、おなかと耳掃除で20分くらいかかるかな。上毛は粗くて、けっこう堅め。切れた毛が少し抜けるけど、抜け毛もそんなに気になりません。フワフワ系だけど、男っぽいでしょ。
RG : そう、それそれ。フワフワなんだけど、男っぽい。アウトドア系ですね。キャンプとか行ったりするんですか?
モコモコの毛の中に耳を発見。垂れ耳なんですよ。
最近は(目を悪くしてから)行ってないですが、とても活発な犬ですから、アウトドアもすごく喜びますよ。走るのも速いです。でも、うちのは水は嫌いみたいよ(笑)。(編注:泳ぐのが好きなプーリーも多いらしい。アメリカでは別名・ハンガリアン・ウォーター・ドッグとも呼ばれている)。濡れると、タテ巻きのくせっ毛がでてきます。
RG : それも見てみたいです(笑)。では飼っていて、ほかに大変なことはありますか?
同じ犬種を飼っている飼い主になかなか会えないことかな(そのため情報交換もできない)。それと病院代。(個体差もあるが)アレンには遺伝性の目の病気や皮膚病などがあり、よく病院に行きます。しかも、プーリーを診た経験のある獣医さんが少ない。プーリーのデータを獣医さんが持っていない。それが困ります。
RG : なるほど。レアな犬種と暮らすって、そういう不安があるんですね。そういえばそうですね、日本で少ない犬種ということは獣医さんにとってもレアケースなわけだ。獣医さんでもその犬種の病気や体質などに関する情報に乏しいというのは仕方がないとはいえ心配です。それは珍しい犬種を選ぶうえでとくに心しておかないといけない点ですね。
暑がりなアレンのために、バンダナに保冷剤をくるんで巻いている。黒い毛に映える赤でおしゃれ&実用性も◎
リードを持って連れ歩くと、大きく見えますね。でもボリュームのわりには引っ張る力はそうでもない。この重さ、力具合、(自分が飼っていたコーギーを思い出し)、なつかし〜〜〜〜と思い出しました!
サイズ的には、僕のどストライクですね。
しっぽも期待通りのモコモコ
お父さんがソファで寝転がっているときに、抱いて寝たりするんだって。となりにスッと寄ってきて、お父さんが肩をポンポンとすると、腕枕をしてくれる!
僕にもやってくれました。夢のよう!こりゃ、たまらんです!
©RG
飼い主さんと込みでカッコイイ。男が連れてて似合うフワフワ犬。
フワフワ系だけど男っぽい。愛らしいフワフワ系の「蝶よ、花よ」のタイプではなく、カワイイだけじゃなくてカッコイイ。名づけて「ワイルドふわふわ系」。
サイズ感といい、なかなか他にない手応えのあるコシのあるフサフサ感、表情豊かな顔、かなり好みです。
「抱いて寝たい子ナンバー1」。え、この表現、やばい?
もしくは「横で撫で撫でしたいナンバー1」です!
お父さん直伝の腕枕。
「お父さん寝転がる」→「肩をポンポンする」→「スッとアレンが腕枕」
普通に地面で実践してくれました(笑)
Hiro Workshop
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-18-15-116
https://www.facebook.com/hiro.workshop
今回ご紹介したアレンの飼い主さんがひらいているハンドメイドギフトのお店。
愛犬のための首輪などの革小物の他、バッグや、水筒ケースなど、お散歩時に持ち歩きたいアイテムも揃っている。
名前の刻印なども可能なので、オリジナルグッズを作成してみては?
大阪ではコーギー(享年9歳)と暮らしていたが、東京では住環境の制約もあって、いまは犬との生活を我慢中。「コーギーは抜け毛がすごかったけど、それを除けば(笑)最高に賢く、いい犬」と思い出を語る、本物の犬好き。