シリーズ2
1700〜1800年代、イギリスで盛んに行われていた闘犬という娯楽のために、いろいろな犬を混血させて改良されたスタフォードシャー・テリア(イギリス原産。通称スタッフィ)。この犬が近代の闘犬種の基礎である。
この「闘う」「強く咬む」「興奮する」「降参しない」ことを人間に求められ、つくられたイギリスのスタッフィが海を渡り、アメリカ人好みに改良されたのがアメリカン・スタフォードシャー・テリア(アメリカ原産。通称アムスタッフまたはアメスタ)。この2犬種はFCI(国際畜犬連盟)およびそれに加盟するJKC(ジャパンケネルクラブ)で純血種として国際的に公認されている。
さらに、一部の熱烈なファンシャー*によってこのアメリカのアムスタッフを、さらなる攻撃性の高い性質と肉体にするべく闘犬用にFCI非公認で改良されているのが、アメリカン・ピット・ブル・テリアだ。よってこの犬種の血統書というのはJKCからは発行されない。アメリカン・ピット・ブル・テリアは、見た目よりも実力重視なので、体格や体重、顔つき、被毛色などにばらつきがある。素人目にはスタッフィとアムスタッフとアメリカン・ピット・ブル・テリアの三者の違いを判別するのは難しいといえるだろう。またこの3犬種と、それらのミックス(雑種)を含めて、「ピット・ブル」と総称されることもある。ピット・ブルは、ヨーロッパの国やアメリカの州で「危険犬種」として飼育を禁止されていることでも有名。
闘犬種らしく興奮のスイッチの入り方は目を見張るものがあり、それを抑制したり、コントロールするのはビギナーには到底無理。なにしろ強靱な精神力と筋肉とテンションの犬なのである。しかし、それでも世界中の多くのファンシャー*はピット・ブルをこよなく愛する。その理由のひとつは、飼い主に対しての愛情の深さ。対犬関係は厳しいことが多いが、飼い主に対してはとてもチャーミングで愛らしく、素直ないい子なのである。
*ファンシャー:愛好家。ファン。マニア
アメリカン・ピット・ブル・テリアのエラ。メス。1歳6か月のピチピチの若犬だ。体重は30kg。ピットは、体高が45センチくらいのコンパクトな中型犬だが、体重的には大型犬並み。エラは、メスのせいか、血統のせいか、ほかの犬が通りすぎても吠えたり威嚇するような攻撃性はみせず、マイペースのごきげんさん。ママが大好きで、ママがいなくなると、小さく鼻を鳴らし、ママが消えた方向を凝視しながら、ひたすら待つという甘えん坊で健気な一面があり、可愛い。現在、土佐闘犬の保護犬のオーティス(オス)と同居している。(土佐闘犬は次回登場! 乞うご期待)
実はですね、僕は今日の取材、怖かったんですよ。だって、ピットと土佐と聞いて。
ピットといえば、格闘家のような、ごつい人が飼っているイメージあるでしょ(笑)。
でも、思ったよりイメージが違う。あ、エラは耳を切ってないからかな。だからイメージが違うんだ。
耳が垂れていると雰囲気が違いますね。
RG : いや、だけどやっぱりこの犬は勇ましいな(笑)。エラはどこで手に入れたんですか? 選んだ理由は?
友達がピットのブリーダーで、6頭、産まれたんです。6頭ともみんなエラと同じ色でした。出会ったら、恋しちゃいました。
RG : 恋した!?(笑) でも(闘犬種ですけど)免許とかいるんですか?
イギリスなど国によっては飼育を規制されていて、飼えない国もありますが、日本にはそういう規制はありません。
RG : そうなんだ、日本では普通に飼えるんだ……。でも飼い方の注意点などはありますか? ブリーダーから何か習いましたか?
とにかく「運動をしっかりする。疲れさせる」ように言われました。疲れさせたあとに、トレーニングをする方がいいとも言われました。疲れたくらいがちょうどよいんですよ。だから誰もいない川沿いを、人のいない時間に自転車引き運動をたくさんします。いまは(同居犬の)オーティスが来たので、よく2頭でレスリングしています。犬同士の遊びはいい運動になるようで(運動不足が解消され)助かりますね。
RG : 咬まれたことはないですか?
甘噛みはありました。でもアゴが強いので、甘噛みでも痛いし、そういうのを許しているのはいけないので、咬むかわりに「キス」を教えています。
あとはやはりとにかく運動して、発散させるのが大事ですね。ストレスがたまると、(どの犬種でも)問題行動につながりますから。
それとこの犬種は、何かの拍子にスイッチが入りやすいから、(突然咬まれないためには)犬を「脅かさない」ことも大事です。
RG : なるほど……(ちょっと神妙な顔)。ほかに気をつけることは?
夏場でヒートしやすいことですかね。嬉しくって興奮して、タフに暴れて無茶するんですよ。本人、自分の限度がわかってない(笑)。だから夏場は熱中症にならないよう気をつけています。
おおっ。いざというときのパワーはすごいけど、意外とちょうどいいサイズ。小さすぎず、大きすぎずですね。一緒に歩いても、フレンドリーでいい感じです。
ママに置いて行かれると、ずーっとそっちの方向を見てる。チョー可愛い。飼い主に対して、人情深い、情け深いんですね。こんなに愛くるしいタイプとは知らなかった!
©RG
目の色がすごくきれい。ごくごく短い毛の手触りも気持ちいい。耳の裏はスエードみたい。
僕、エラのこと、だいぶ好きです。ちょうどいい。実は、思ったより「ちょうどいい」(笑)。サイズもほどよく、性格も魅力的。しつけをちゃんとしていれば、やっぱ犬は犬なんだなと思いました。ピットのイメージ、すっかり変わりましたね。犬がコワイんじゃないし、犬が悪いんじゃない。つまり飼い主がやればできるんだ、飼えるんだ。という気になりました。でもつねに緊張感を持っていないといけないということも、飼い主さんからひしひしと伝わりました。
次回はエラのでっかい弟分、土佐闘犬のオーティスを紹介しますよ!
エラがドッグランで走ってくる姿を激写していたRGさん。だけどエラが真正面から突進してくると、ちょっとその迫力に負けて、逃げ足早く、身をひるがえしてよけていました。
pecos 幕張新都心店
http://www.aeonpet.com/pecos/makuharishintoshin/
(JR海浜幕張駅よりバス約8分)
広さ2000㎡のモール丸ごとペットモールとなっているpecos幕張新都心店。
1階はウォーターセラピーやトリミングサロンを中心としたサービスをメインに展開するフロア。2階にはファッションや雑貨の他、ペット用のパンやスイーツも並ぶライフスタイルショップが並ぶ。屋外にあるドッグランは無料で利用が可能な上、ペットモール内もペットと一緒に楽しめるのが嬉しい。
大阪ではコーギー(享年9歳)と暮らしていたが、東京では住環境の制約もあって、いまは犬との生活を我慢中。「コーギーは抜け毛がすごかったけど、それを除けば(笑)最高に賢く、いい犬」と思い出を語る、本物の犬好き。