シリーズ2
昔の人にとって「闘犬」という娯楽は人気があった。古代ローマ時代の「闘犬」は犬同士で闘うスタイルだけでなく、闘技場で「犬VSライオン」「犬VSクマ」などで闘うスタイルも多かったそうだ。そうした時代に使われていたのはマスティフ(オールド・イングリッシュ・マスティフ)やローマン・マスティフといった短毛のマスチフの仲間(モロシアンやモロッサーとも言われる)。現存する純血種だとナポリタン・マスティフなどをイメージすると近い。
日本でも14世紀の頃から闘犬は行われていた。日本の場合は「犬VS犬」が主流。いまも四国の高知県では伝統文化の継承と観光のために闘犬が行われているが、そのために日本で犬種改良されたのが本犬種だ。FCI(国際畜犬連盟)では「Tosa」、JKCでは「土佐」が正式名称。四国の和犬と混同されないように「土佐闘犬」と区別した呼び名で呼ばれたり、外国からはジャパニーズ・マスティフと呼ばれることもある。
土佐は、四国にもともといた土地の犬である四国犬という和犬と、洋犬の血を掛け合わせることによって作出された。改良につかわれた洋犬は、ブルドッグ(1872年)、マスティフ(1874年)、ジャーマン・ポインター(1876年)、グレート・デーン(1924年)が記録として残っている。そのほか年代は明らかではないがセント・バーナードやブル・テリアの血も入れたとも言われている。
このようにして強く、大きく、持久力と闘争心の塊のような国産の犬が誕生した。日本原産の犬種ではあるが、柴や甲斐、北海道などの日本犬(和犬)とは別扱いとなり、土佐は日本犬チームには分類されず、モロシアン犬種のひとつとされる。一部のファンシャーからは昔も今も変わらず愛好され、またこういう超大型犬を好む人が多い欧米にもファンがいる。ただし、歴史上と性質上、攻撃力が非常に高いので人身事故を起こすことが多い犬種であることも事実。欧米では、飼養を禁止されている国や州もある。軽い気持ちで飼うことは絶対に許されない犬種のひとつだ。
アメリカン・ピット・ブル・テリアのエラと同居している土佐のオーティス。オス。2歳。超大型犬は小型の犬種よりも成長がゆっくりなので、今後もう少し肉がついて大きくなるだろう。現在の体重は50kg。いまは足を少し痛めているので、体重制限をしているそうだ。土佐は80〜100kgの巨体になるものもいる。
実は日本では高知以外でもアンダーグラウンド的に闘犬がまだ開催されており、コンパニオンではなく生粋の闘犬として攻撃性の高い犬をわざと繁殖させている繁殖業者が現存している。オーティスはそこの出身だが、気が優しく弱気だったため闘犬不適格となり、噛ませ犬(強い闘犬の練習台)になっていたという。そうした経緯のあとに動物保護団体WAMPERS*に保護されたという過去を持つ。保護犬のため正式な血統書がないので、オーティスが純血の土佐かどうかは確約がとれていない。
ただ写真等を比較すると、土佐は歴史上さまざまな犬種を混血してより強く、大きな犬を目指して改良されてきているので、複数のタイプがいる。昔はもっと顔や首にシワシワのたるみの多い犬が多かったようで欧米では今も昔ながらの古武士のような風格のある和風の土佐が好まれる傾向にあるが、現在の日本ではグレート・デーンなどの洋犬の血が濃いタイプも多い。オーティスは後者タイプ。
*注:千葉県を拠点として大型犬種をメインに、保健所や飼育困難者より犬を引き取り、飼育希望の方に譲渡する活動や譲渡不適格犬の終生飼育の為のシェルター運営を行う動物保護団体
詳しくはWAMPERS WEBサイトへ http://wampers.net/
ほんとにデカッ! 迫力ある! 首の皮伸びる~!
RG : 他の犬と比べて、正直なところどうなんですか?
そりゃ大変といえば、大変です。この犬が来たら、生活はガラッと変わります。でも飼っているうちに大変とは思わなくなります。
でも迎え入れる前に、相当考えました。4か月間、家庭内で会議をしましたよ。何かあったら、犬が殺されちゃう(万一、咬傷事故を起こしたら殺処分される)。それだけ責任重大です。
RG : そうですよね、気軽に飼える犬ではないですよね。「飼う覚悟」の大事さを感じます。
僕は子どものときに熊本県に住んでいて、近くに土佐を飼っている人がいたんです。それと闘犬の漫画が昔あったでしょう(註:『白い戦士ヤマト』/高橋よしひろ著)。土佐といえば、あのイメージなので、一般の人が飼うことができるなんて!と驚きます。でもこうして見るとフレンドリーな大型犬ですね。オーティスが特別に気が優しいのかもしれないけど。部屋で飼っているんですか?
はい、そうです。
RG : そうかぁ、おうちもそれなりのものを用意しないといけないなぁ。ライフスタイル全体が変わるって、住環境なども含まれますよね。将来、僕は海辺に住みたいなぁと憧れているんですが、広い環境で暮らせるようになったら、って思います。
運動はどうしているんですか?
(ピット・ブルの)エラと同じく、毎日しっかり運動させて疲れてもらうのが大事ですね。ピット・ブルは瞬発力はありますがそれほど持久力はありません。それに比べて土佐はすごく持久力があるんですよ。オーティスの方が疲れ知らずです。
RG : 土佐はほんとにタフなんだろうなぁ。さっきからオーティス、ずっと動きっぱなしで遊んでいるしなぁ……(笑)。本当に休憩しないですよね。
すごい力だ! オーティス、こっち行くよ−、行こうってばー。いやー、すごい力ですね。わりと普通に歩いてくれるときもあるけど、何かに関心を持ったときにガッと引っ張られる力は相当です。
タフで、意外と遊び好き。気が優しい。
人にはフレンドリーだし、ほかの犬にも興味津々。想像していたのと、印象が違う。
©RG
迫力がある。スポーティで、かっこいい。
いやぁ、もうライフスタイルが変わるのは間違いないです。
ただね、土佐闘犬という特殊な運命を背負わされた犬種だなと痛感しました。必要なくなれば、捨てられる。何かあったらセンセーショナルに報道されて、殺される。こういう犬を好んでつくったのは人間なのに。人間の無責任さのようなものを感じ、いろいろ勉強させられました。それだけに飼い主さんから「土佐を飼う」という強い覚悟を感じます。
今回は2回続けて闘犬タイプに会いましたが、次回はどんな犬に会えるかな。
実は"ファーストインプレッション"の写真、とってもおっかなびっくりでした!
pecos 幕張新都心店
http://www.aeonpet.com/pecos/makuharishintoshin/
(JR海浜幕張駅よりバス約8分)
広さ2000㎡のモール丸ごとペットモールとなっているpecos幕張新都心店。
1階はウォーターセラピーやトリミングサロンを中心としたサービスをメインに展開するフロア。2階にはファッションや雑貨の他、ペット用のパンやスイーツも並ぶライフスタイルショップが並ぶ。屋外にあるドッグランは無料で利用が可能な上、ペットモール内もペットと一緒に楽しめるのが嬉しい。
大阪ではコーギー(享年9歳)と暮らしていたが、東京では住環境の制約もあって、いまは犬との生活を我慢中。「コーギーは抜け毛がすごかったけど、それを除けば(笑)最高に賢く、いい犬」と思い出を語る、本物の犬好き。